メタフィクション作品(主にゲーム)

メタフィクション作品を自分用にまとめています。

自分用なのでネタバレもかなりあります。ネタバレを見たくない人は読まない方がいいです。

メタフィクションの定義ですが、作品世界の外側に、その世界の観測者(つまり我々)や製作者がいることが、前提としている作品のこととします。この作品はあくまで虚構である、と明らかにされているものです。私なりに定義したものなので、違ってても気にしないでください。

特に記載がない場合はゲームです。それ以外はタイトルの横に書きます。

 

 

 

観測したことがあるもの

・The Stanley Parable

http://store.steampowered.com/app/221910/The_Stanley_Parable/

かなり面白かったです。選択をするゲームです。

ナレーターが「スタンリーは○○しました」と色々言うのですが、これを無視してスタンリーを好き勝手な方に行かせるか、ナレーションの通りに進むか選択をする。

いくつか無視していくと、このゲームの全容を展示している博物館エリアに行けたりします。

ナレーターの言うことを全部無視すると、スタンリーを動かすプレイヤーの存在に気づいて、ナレーターが説教しはじめます。その後プレイヤーがスタンリーを操作できなくなり、当然スタンリーは動かなくなります(無茶苦茶な指示をされて、プレイヤーがゲームを止めてしまったという暗喩なのか。もしくは、ナレーターがキレてプレイヤーが操作できないようなさせたのか)。動かないスタンリーにナレーターは泣きながら「お前が選択しないと物語が進まない。頼む、動いてくれ!」と嘆く。The End !

プレイヤーがいないことにはゲームは進まない、という話ですね。

その他にもゲームとはなんだ?という皮肉まじりなエンドがあったり、プレーヤーとゲーム製作者の関係を示していたりします。

 

・Undertale

http://store.steampowered.com/app/391540/Undertale/

めっちゃ流行ってますよね。

モンスターが住む世界に人が落ちてしまって・・・という話です。モンスターと戦わず仲良くなることも、虐殺することもできます。

虐殺すると、この世界がゲームであると気づいているキャラになじられます。みんな仲良しな幸せエンドにたどり着いたとしても、プレイヤーの好奇心でループ(プレイヤー側からするとただの周回)させられて、不幸なエンドになったりすると。

このゲーム作った人、性格悪いなぁと思いました。そう言われると確かに虐殺したことに罪悪感を感じますが、このキャラのセリフを作ったのはあくまで製作者であるこちら側にいる人なんですよね。だったらこのゲームに虐殺ルートをつくった製作者に怒ってくれという気持ちになった。面白かったんですがね。

 

・OFF

http://gaarabis.free.fr/index_ms.php3?topic=off

https://offjptranslation.wordpress.com/ 日本語版

虐殺ルートしかないUndertaleって感じです。この言い方だと誤解を招きそうですが、面白かったです。

主人公Butterはプレーヤーに操られる存在であると、初めから明示されています。Butterは重要な任務を任されており、この世界を浄化する必要がある。その任務を達成するためにButterを導いてください。という話

このゲームにはモンスターと仲良くなるという選択肢がなく、ひたすら浄化(虐殺)するしかない。最後の最後に選択がでてきますが。

 

UndertaleとOFF、どちらも面白いゲームなのですが、ゲームは人の手で作られるものなので、現実とは違って有限個の選択肢から選び取ることしか出来ないんだよなぁという気持ちになりましたね。まぁ当たり前ですが。現実の選択肢は(ほぼ)無限なので、自由度が高い!

 

SCE_2

http://kawasakibu.web.fc2.com/sce2/

すごくすごい作品。

2ウィンドウを使うゲームなのですが、1つはゲームの世界、もう1つはこのゲームについてよく知る女の子が駄弁る世界。そして我々プレイヤーがいるので3つの世界になっています。

ゲーム世界は、地中世界に住む住人たちを操り、穴を掘り、採掘品で装備品を豪華にしていき、更に深い穴を掘る。それぐらい。ゲームに詰まると女の子が別ウィンドウで助言をしてくれたりする。

 穴を掘って、地上に出るだけのストーリーに見えそうだが、話の構造がかなり難解。色々な人の考察を読んだが、ぶっちゃけよく分かってない。前作(スカイハイ・クロノス・エンドレス、以下SCE)はヒロインが、永遠に終わらないゲームをプレイヤーに遊ばさせることで、プレーヤーが離れないようにしようとする話っぽいです。そこで、SCE_2ではSCEの登場人物たちが名前を変え、ゲームを終わらせるキーを隠し、プレーヤーを離れさせないようにする話っぽい。難解になっているのは女の子の存在で、この子はプレーヤーに近い世界にいるが、あくまでもゲームの中のキャラであって・・・みたいな?

正直よく分かってない。ごめん。

 

・IF〔体験版〕

http://madeinroom.web.fc2.com/IF/IF.html

体験版という体のゲームであって、体験版ではないです。

ゲーム内の登場人物は、製作者が決めたレールに沿った言動しかできない。自分がゲーム内の登場人物、そもそも完成版では登場すらしないナレーター役であると知っている子をプレーヤーが救う話。

ほとんどのRPGは、世界が大変なことになり、仲間と共に敵を倒していき、最終的にラスボスを倒すことで世界が平和になり、みんな幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし。で終わります。ゲーム内の登場人物は、物語で何やかんやあって最終的に救われるのが基本です。では、そもそも登場人物ではないナレーター役は?ナレーターという、ゲーム内世界と我々の世界をつなげる、メタ的な役割を持つがために、自分がゲーム内にいるということに気付いており、またゲーム内世界の住人でもないという窮屈さ。

ゲーム外の世界にいる我々にしか、ゲームの根底部分影響を与えられないし、奇跡はプレイヤーにしか起こせない。そして、我々も少なからずゲームから影響を与えられてますよね。みたいな話。

 

・『朝のガスパール筒井康隆 著(小説)

 筒井康隆さんは、メタフィクション作品をかなりたくさん書いているイメージがあります。

この小説は、新聞で連載されていた読者参加型の作品です。読者参加型というのはどういうことかと言いますと、新聞読者から投書やパソコン通信で意見・感想により物語の進行を変えていっています。この連載の為に「電脳筒井線」という電子掲示板を開き、作者自らもこの掲示板に参加をしたらしいです。

物語は『まぼろしの遊撃隊』というコンピューターゲームMMORPGのようなゲーム。連載当時はパソコン通信時代なので、当然このようなゲームは無かった)の世界、『まぼろしの遊撃隊』を遊んでいるプレイヤーの世界、そしてこの物語を書いている"という設定の"櫟沢という作家とその担当編集者の澱口の世界、の3つにわかれて進んでいきます。そして、それを読む我々読者と作者である筒井康隆さんの世界があるので、4層の世界がこの作品にはある。

櫟沢のパートでは、投書やパソコン通信の投稿の内容を実名で取り上げ、これに対して批評を述べ、今後の物語の進行を決めている。また、電子掲示板「電脳筒井線」が炎上すると作品内の『まぼろしの遊撃隊』の様子も一変し、荒らしをする人達が増えていくようになり、ときには「電脳筒井線」でされた発言をそのまま借用して『まぼろしの遊撃隊』で発言されることもある。このように、連載中に届いた現実の読者からの反応が虚構である小説の世界に組み込まれ、影響を及ぼしていく。リアルタイムで連載を行っていたからできた作品ですね。

 ・・・ここは割と良い感じに感想書けましたね(自画自賛

 

 

 観測してないもの

君と彼女と彼女の恋。

http://www.nitroplus.co.jp/game/totono/

・OneShot

http://store.steampowered.com/app/420530/OneShot/

serial experiments lain

サイトがないっぽい。1998年のゲームだからなぁ

・The Magic Circle

http://store.steampowered.com/app/323380/The_Magic_Circle/

・Doki Doki Literature Club

http://store.steampowered.com/app/698780/Doki_Doki_Literature_Club/

 ・IMSCARED

http://store.steampowered.com/app/429720/IMSCARED/

・『虚人たち筒井康隆 著(小説)

 

 

新しく知ったり、遊んだりしたら更新するかもしれません。

ちなみにIMSCAREDはプレイしてる最中です。また、Doki Doki Literature Clubは無料ですし、この2作品は近いうちに内容を更新するかも。気がのったらね。

SOMA感想

SOMAというSFホラーゲームをプレイし終わりました。好みのゲームでした。

ホラーゲームは敵と戦わず、逃げ隠れしてしのぐタイプが好きなんですよね。あとアクションよりストーリー重視の方が好きです。FPSのバトルがとても苦手ですし、ストーリーがないとすぐ飽きてしまうので。

あとSFが好きなんです。哲学的な内容だとなお好きです。

このゲームのテーマは「生命とはなにか?」「ある人が、その人たらしめている物はなにか?(自己同一性とは)」というようなことで、まあ、かなり好みでした。

ただ、バイオハザードのような、ガンガン敵が出てきて倒していくタイプのゲームが好きな人には物足りなさそう。

 

以下、ネタバレになります。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まず、思い出したのが、「パーフィットの分離脳」

Aという人が脳を取り出して2つに分け、それぞれをクローンの体に移植する。2人のクローンが目覚めると、どちらもAとして行動・思考をし、自分がAであると言う。この時、Aという人は2人いるのか、それとも別の人格になったというのか。

という人格同一性についての思考実験。

このゲームの題材そのものなのではないかと。

 

あとうまいな、と思ったのは、プレイヤー自身に選ばせるシーン。

サイモンとワンのデータを消すか消さないか、古い自分を殺すか殺さないか、など。かなり考えさせられた。

特に、ARKについての測定調査。たしか、ゲームの始め、全貌がだいたい分かった中盤頃、そして最後の3回同じアンケートを受けることになる。

「厳密にはあなたは人間ではないが、そのことについてどう思いますか?」

「新しい自分の存在は、生きるのに値すると思いますか?」

「プロジェクトから外され、死を選ぶほうを望みますか?」

など、結構つらい内容。適当に答えず真面目に選ぶと、最後には感想がかなり変化するのが分かる。

サイモンの元の人格は消えずに残り、一人で絶望するシーンから、ARKに入れて綺麗な景色の中で幸せになれたサイモンを見せた後に、アンケートでプレイヤーに「どう思いますか?」と考えさせるように突きつける。最後にこのアンケート画面を見つけた時、やることがエグくて声に出して「うわぁ……」と言ってしまった。

 

いまだによく分からない謎がいくつかある。

・エイカーズは何をしたの?

・Leviathan(深海にいた大きい生物)はなぜあんなタイミングよくロス博士を襲ったのか

→サイモンにARKを発射させないとゲームとして微妙になってしまうからと言われればまあそれまで

・ARK内のキャサリンの人格は、2つになっているのではないか

→スキャンしてそのままARKに移された人格と、サイモンと一緒にファイまで来た人格の2つにならない?

 

これぐらいです。

あと、誰が何をしたのか、とかが混乱してよく分かってないところが結構あります。

エイカーズについては探索不足なだけな気がしますのでもう少し調べてみたいです。

横浜トリエンナーレ

横浜トリエンナーレに行きました。

現代美術の大規模な国際展で、国内外の現代美術家の作品が集まってます。

私は横浜美術館、赤レンガ倉庫、横浜市開港記念館、氷川丸の4会場に行きました。

ちなみにコンセプトは『「接続性」と「孤立」から世界を考える』だそう

 

特に好きだった作品は、

横浜美術館

ミスター:街中の写真を背景に、アニメ風の絵柄で書かれた女の子が部屋にたくさん置いてある。一人暮らしの部屋をイメージしたらしい。

 

ブルームバーグ&チャナリン:まず、部屋にたくさんの積み木。床に1枚、壁に2枚の絵がある。積み木は自由に触って遊べた。社会を揺るがすような事件(テロなど)を抽象化する試みらしい。積み木は作って、そして壊すことの抽象化なのかなと想像。ちなみに私は積み木を無理なバランスに積んでしまってバラバラになった。

 

ザオ・ザオ:民族問題があるタクラマカン砂漠のど真ん中に冷蔵庫を持って行ってビールを飲む試みの映像と、使用した冷蔵庫・電線の展示。電気は砂漠の近くの過程から23日かけて持ってきたらしい。楽しそうだった。冗談ではなくて、楽しいことは重要なことだと思う。

そして高級スーツ(日本円で100万以上)と、それに似せて作者の母親が作ったスーツの展示。重要なのが、この高級スーツを買った作者へ父親が書いた手紙。人によって価値観が違うということ。

 

 

赤レンガ倉庫 映像作品が多かった

宇治野宗輝:木箱に乗った家電製品に、改造されたギター。戦後の話(光が丘が米から日本に返却されたこと、バナナはクローン栽培され、遺伝子はどれも同じということ)映像が流れ、これらが動いて音楽を作り出す。ギターが鳴ると、それにつけられた自転車のタイヤと車のワイパーが動いて異様な光景になる。木箱はビル群、家電製品はどれも大量生産・消費社会の象徴らしい、バナナも。

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ラグナル・キャルタンソン:別の部屋にいる9人の人が、ヘッドホンで聞く他の人の演奏を頼りに曲を作る映像。ピアノ、歌、ギター、コントラバス(たぶん)など。暗い部屋に9つのモニター・スピーカーが別々の場所に配置されており、歩き回ると見える映像・聞こえる音が変わる展示方法が、孤独とその繋がりというテーマに合ってて素晴らしいと感じた。綺麗だった。

 

Don't Follow the Wind:福島原発の事故で、立ち入り禁止になった区域で行われる展覧会。封鎖が解除されるまでこの展覧会を観賞することはできない。このプロジェクト自体は知っていたが、そのプロジェクトの考えや、福島の様子をVRで観ることができて良かった。

 

 

開港記念館

柳幸典さんが、地下全体を使って展示(インスタレーション?)している。

蟻が巣をつくることによって緩やかに崩れていく日の丸。木材の山と、原爆実験の様子を移した動く瞳(ゴジラがモチーフらしい)。バラバラに置かれた憲法第9条を映した電光掲示板など。

国の破壊・存続の危うさといったことを感じた。

 

 

氷川丸

正直、作品はよく分からなかったが、豪華客船の名残みたいなのを感じることができててよかった。過去の終わってしまった賑わいのノスタルジーを感じた。

あと、客船としての仕事を終えて横浜に展示されることになった時に、船尾を取る話になり、それに反対して結局取らないことになったときに「ヴィーナスの足がとられなくて良かった」と言った話を聞いて、とても良いなと思った。

 

 

もっと写真撮ればよかったな。基本、写真撮影が許可されていたのに、ほとんど撮ってなかった。

はじめました

 

旅行した時の記録を書けるところが欲しいなと思ってはじめました。

たぶん数カ月ぐらい平気で放置します。

旅行、良い作品(映画、美術作品、漫画、アニメ、ゲーム等)に出会えた時、美味しいものを食べた・作れた時

などに更新します。その予定です。

 

よろしくおねがいします